■2021年8月
トヨタは、新型ランドクルーザーを2021年8月2日に発表、同日に販売を開始した。
14年ぶりのフルモデルチェンジで「300シリーズ」として登場したトヨタSUVの最上級モデル。新型は「信頼性・耐久性・悪路走破性は進化させつつ継承」、「世界のどんな道でも運転しやすく、疲れにくい走りを実現」を踏まえて開発が進められた。フレーム構造は踏襲され、TNGAの考えに基づく「GA-Fプラットフォーム」を新たに採用している。
エクステリアは歴代ランドクルーザーに共通する、キャビンを後ろ寄りに配置する「キャビンバックワードプロポーション」とした。ラジエターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置し、前後のバンパー下部は障害物をいなすような造形とするなど、オフロード走行に配慮したデザインとした。
ボディサイズは全長4950~4985㎜×全幅1980~1990㎜×全高1925㎜、ホイールベース2850㎜。従来型(200シリーズ)に対して全長とホイールベースを変更せず(一部グレードについてはバンパー形状の違いで変更あり)、さらに対地障害角(アプローチアングル、デパーチャーアングル、ランプブレークアングル)をキープして走破能力を継承。最大渡河性能は700㎜とした。
インテリアではシートの配置が見直され、フロント着座位置を後方に移動させながら、セカンド&サードシート構造を見直して居住性・荷室容量の向上と衝突安全性能を両立。サードシートは電動のフロア収納式とした。
パワーユニットは最高出力305kW(415ps)/5200rpm、最大トルク650Nm/2000~3600rpmを発生する3.5リッターV6ガソリンターボ、最高出力227kW(309ps)/4000rpm、最大トルク700Nm/1600~2600rpmを発生する3.3リッターV6ディーゼルターボ。トランスミッションは両エンジンとも10速ATとなり、副変速機を備えたフルタイム4WDとした。燃費はガソリン車がWLTCモードで7.9~8.0km/L、ディーゼル車は同9.7km/L。
伝統のラダーフレームは最新の溶接技術の活用などにより、従来型比+20%の高剛性化を実現。衝突安全性能、静粛性、走りの質を向上させながら軽量化にも取り組み、ボディについても高張力鋼板の拡大採用、ボンネット、ルーフ、全ドアパネルをアルミ化。また、パワートレーンの搭載位置を車両後方に70㎜、下方に28㎜移動した。これらにより約200kgの大幅な軽量化と低重心化、前後重量配分の改善が図られた。
サスペンションは前ダブルウィッシュボーン/後トレーリングリンク車軸式だ。形式は先代と共通ながら設計は変更され、リヤサスについてはショックアブソーバーの位置を最適化して乗り心地と操縦安定性を向上。また、サスペンションアームの配置変更により、制動時の安定性を高め、悪路走破性向上のためホイールアーティキュレーション(タイヤの浮きづらさ)を改善した。なお、路面状況や運転操作に応じてショックアブソーバーの減衰力を4輪独立で制御するAVS(アダプティブ バリアブル サスペンション)を一部グレードに採用している。
オフロード走行のサポート機能として6つのモード(オート/ダート/サンド/マッド/ディープスノー/ロック)を設定した「マルチテレインセレクト」、車両周囲の状況確認を4つのカメラでサポートする「マルチテレインモニター」、オフロード情報表示画面を新設した12.3インチディスプレイを装備。
悪路での耐久性と時代のニーズに対応させるため、過酷な環境下での使用に耐える油圧式パワーステアリングに電動式の操舵アクチュエーターを組み合わせ、レーントレーシングアシストなどの操舵支援機能を追加した「操舵アクチュエーター付きパワーステアリング」、ブレーキペダルの操作量をセンサーで検出し、最適な制動力を油圧ブレーキで創出する「電子制御ブレーキシステム」、リヤタイヤのトラクション性能を確保する「リヤトルセンLSD」を設定している。
最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を採用したほか、駐車時などの低速走行時における衝突被害軽減に寄与する「パーキングサポートブレーキ」を標準装備。セキュリティシステムとして注目したいのが、スタートスイッチ中央に指紋センサーを採用し、車両に登録された指紋情報と照合し、指紋情報が一致しなければエンジンが始動しない「指紋認証スタートスイッチ」をトヨタで初めて装備した。
ラインアップには「E-KDSS(エレクトロニック キネティック ダイナミック サスペンション システム)」、「電動デフロック(フロント)」、「GRスポーツ」が設定されている。